☆ 研究上の関心
(1)企業の情報開示(ディスクロージャー)行動とその実験の手法を用いた検証
修士論文や博士学位論文に端を発し、約四半世紀に亘って追ってきている課題である。
現在(2022年)は、数年来ほったらかしであったいわゆる自発的開示のモデル(*1)研究に
関し、上記の研究(概ね2000年前後)でまとめて以降に出版された研究をサーベイしている。
契機は、Stocken, P. C. (2013), "Strategic Accounting Disclosure", Foudations and Trends®
in Accounting 7 (4), 197-291.である。2013年夏、同書の存在を知らないまま、同様の分析的
研究の文献を数学の理解に苦労しながら読んでいたが、他の研究課題や教育の活動などにより中
断してきた経緯がある。近いうちには、代表的な分析モデルの自分なりのまとめをしておくつもり
である(以下、まとめ作業を実施)。
「戦略的な情報開示の分析的研究―説得ゲームに焦点を当てて―」,『青山経営論集』第57巻
第1号(2022年7月),39-73頁。
「戦略的な情報開示の分析的研究―説得ゲームに焦点を当てて(その2)―」,『青山経営論集』
第58巻第1号(2023年7月),75-112頁。本稿の補遺はここ
* 上記の補遺をお読みになりたい場合、ご連絡ください。連絡はここ
(2)会計の情報開示(ディスクロージャー)・財務報告書の記述情報の分析
「事業の言語(Language of Business)」といわれる会計。ならば、自然言語と同様に、ある
いはそこまではいかなくとも、あるいはそれとは別のかたちで、利害関係者に対して、会計情報
の作成者の「想い(意図的・無意識含め)」が含まれると考えることが—あるいは考えることも
―できる。とすれば、外部の研究者なりに、「想い」を捉えられないだとうかと考えて、数年来
欧米とわが国の会計学研究、その他会計学以外の関連研究をみてきている。
欧米もわが国も圧倒的に統計的分析が主流であり、手法の洗練とともに興味深い知見が生み出
されている。何よりも、監査法人や投資機関など大規模組織が研究に取り組んでいるのは強みで
あるといえる。半面、わたしのような個人の零細研究者にとっては、とても太刀打ちできないの
が明かである。また、統計的分析にあるテキストのぶつぎりは、「想い」をもぶつぎりしている
ようで気になっている。たとえば、テキストがある単語の出現数のカウントによってのみ定量化
されるならば機敏が消え去ってしまうのではないだろうか。
上記のような理由から、欧州系の研究では存在するような、テキストをそのまま捉えて分析す
るようなアプローチができないかも、最近は考えている。読み手、あるいは評価してくれる人は
とっても少ないのは疑いないが、徐々にそれら社会学的・批判的な技法も身に付けながら、研究
を進めていきたい。
テキストをそのまま加工せずに捉えて分析する手法による研究論文には、読んでいて、はっと
気付かされるようなものがある(*2)。また、企業の情報開示(ディスクロージャー)や財務
報告書を読んでいて、深い感銘を覚えるものも、反対に何か違和感を覚えるものもある。
何れにせよ「想い」をきちんと掘り出せれば、アプローチにこだわりはあろうはずがない。
(3)行動経済学・会計学の行動科学研究(Behavioral Research in Accounting)
(4)その他